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「ゲーム脳」徹底検証
斎藤環氏に聞く ゲーム脳の恐怖3
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テレビ番組でまじめに検証すれば……
斎藤 テレビ番組ですけど、こういう医学的なことを、比較的まじめに検証しているのが日本テレビの『特命リサーチ200X』。ああいうところで、専門家を総動員して、検証すればいいんですよ。「ゲーム脳」が嘘だということがわかるんですから。
――でも、けっこうテレビのニュース番組でも、『ゲーム脳の恐怖』を肯定的に扱っていますよね。
斎藤 『特命リサーチ』は、半年くらいかけてやりますから、割とあそこはしっかりしていると思うんですよ。「ゲーム脳」はまさにうってつけのテーマだと思いますよ。調べりゃ出るんですから。番組でちゃんとPETを借りて、ゲームをやらせればいいんですよ。
あるいは、もう調べたのかもしれないけど、異常なんか出るわけないんで、番組にならないってことで流れちゃったかもしれませんけどもね。
「EMS-2000」みたいなショボいマシンじゃなくて、ちゃんと10−20式でやってもらって、それできっちりと「前頭前野の活動低下」ということが証明されれば、少しは受け入れてもいいですけれども。そもそも前頭前野しか調べられないマシンで何か言われても、それは誰も受け入れないでしょうね。
「画像情報は前頭前野に行かない」とか、「テンポが速く、思考の入るすきまがありません」とかね、このへんはほんと、憶測だけで書かれていて、非常にいいかげん。検証と憶測がごっちゃに書かれているところが、この本の問題の一つですね。
少年犯罪は増えてない
斎藤 実際問題として、ゲームの普及率はどんどん上がっているわけですけれども、子供がどんどんキレるかっていったらそんなことないわけで、その証拠に、犯罪率はむしろ低下してるわけですから。そのへんをもうちょっとちゃんと、理論づけてほしいですね。環境ホルモンが話題になったときもそうでしたけどね。
新聞記事で子供がキレてるうんぬんみたいな話があったとしても、それは要するに、そういうことが珍しいからトピックになるわけであって。環境ホルモンにしてもゲームにしても、少年が凶悪化してる証拠は何もないんですよね。臨床場面で見てもそう思いますし、犯罪統計を見ても明らかなわけで。こういうこと言いたがる人は、この統計をどう説明するんですかね。
――犯罪件数が減少しているってのは、新聞なんかにも出てますしね。(※)
斎藤 出てるわけなんですが、でも、こういうこと言いたがる人は、「キレる子供」って必ず出してくるわけですよ。「キレる子供」なんてのは、まあ彼らのシンボルですよね。シンボルでしかないんですけれども、あたかもそれが時代的、あるいは世代的風潮であるかのように言われてしまうところが、大いに問題だと思うんですね。
※注:『犯罪白書 平成14年度版』を見ると、少年犯罪は1980年代がピークで、平成に入ってから少しずつ減っている。
また、先日の朝日新聞に記事が載っていたが、日本は世界でも珍しいほど、20代の若者による殺人が少ないとのこと。普通どこの国でも、「人口あたりの殺人加害者の数」は20代男性がトップだそうだが、日本の20代男性はこの数値が年々減り続け、現在では50代男性の「人口あたりの殺人加害者の数」を下回るに至ったということだ。
「ストレス」に関する間違い
斎藤 だいたいの主要な問題点は指摘しましたけど、まだまだあります。いやあ、でもほんと、ゲームを悪く言うためにはあらゆる論理を動員してくるなあって感じで。
「緊張するゲームは脳のストレス」(112ページ〜)って言ってますけどね。「糖尿病を誘発することになりかねません」(117ページ)とか、わけのわからんことをいっぱい書いてありますけれども、無茶苦茶ですよ、この人のストレスの説明は。
ストレスには善玉ストレスだってあるわけですからね。ストレスを受けることによって、自律神経系のバランスが保たれたりもしますし。
そんなこと言ったら「ひきこもり」なんてノーストレスですよ。ノーストレスの状態は、心理的に、非常に耐え難い苦痛をもたらすわけです。ストレスがなければいいとは全然言えないわけで。
交感神経系もある程度ストレスを受けなければ、バランスが保てないわけですよ。交感神経優位がまるで悪いことであるかのように書いてますけど、全然そんなことはないわけで。むしろ一定の刺激を受けなければ、まずいわけです。
まずいストレスというのは、自分でコントロールできない状態のストレスです。つまり、嫌でもそこから逃れられないというストレスのことであって、ゲームのストレスは嫌だったらやめればいいじゃないですか。そういうストレスには、ほとんど危険性はない。
増して、その後に出てくる「海馬が萎縮してしまう」なんてね、これは要するにPTSD(post-traumatic stress disorder=心的外傷後ストレス障害)の説明なんです。確かにPTSDのケースでは、海馬の萎縮は報告されてますけれども、じゃあゲームは心的外傷、つまりトラウマなのか? と。ゲームやったらトラウマになるのか? と。
戦場での兵士のトラウマが、ストレスをもたらし続けるといった、非常に極端なトラウマのケースを持ってきて、海馬が萎縮するとか言うのはね、議論を誘導しまくりですよ。
(次ページへ続く)
『ゲーム脳の恐怖』は間違いだらけ/「脳波」に関する初歩的な間違い
アルファ波は「徐波」ではない/イーオス社のプロモーション?
脳波の現物がないのもおかしい/前頭前野しか測れない脳波計
そもそもいったい何を測りたかったのか?/「不関電極」をおでこにつけるのも間違い
脳波を測るならちゃんとした脳波計で/正しい脳波の測りかた
こんな人に脳波のことを語ってほしくない/森昭雄氏の知識はシロウト以下
少年犯罪は増えてない/「ストレス」に関する間違い
「医学博士」は医者じゃない/「反射神経」に関する間違い/ゲーム業界にも後ろめたさがある?
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