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「ゲーム脳」徹底検証
トンデモ『ゲーム脳の恐怖』(2)
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何でこんなに売れているのか
山本 とにかく全編、ゲームに対する偏見で満ちあふれていて、読んでておかしいんですよ。怒る以前に笑っちゃうから。
――でも、そんな本が現に売れちゃってる。こういう現状はどうなんでしょう?
山本 どうなんでしょうね。困ったもんですよね。
――「ユダヤ陰謀論」がはやった時期に、ちょっと似てる気がするんですけど。(※注2)
山本 『脳内革命』とか『神々の指紋』とかも売れましたからね。
――でも『脳内革命』や『神々の指紋』って、悪意はないじゃないですか。
山本 信じたがっている人がいると思うんですよね。僕らはゲーム好きだから、ゲームに害があると言われれば反発するけど、ゲームに害があることを望む人たちもいると思うんですよ。そういう人たちにとって、格好の材料だったんでしょうかね。特に教育関係者で、“子供がゲームするのはけしからん”とか思っている人たちにとっては。
――本の中身を読んでみて、おかしいということがわからないっていうのは、どうしてなんでしょうね?
山本 やっぱり気がつかないんじゃないですか? 肯定的な視点で見てしまうと。ホントに前頭葉使って読んでるのかな?
――さらっと斜め読みしてるんじゃないかなと。斜め読みすると一見……、
山本 正しく見えるんですけどね。よくよく読んでみると矛盾がいっぱい。
――2章の前半みたいな、脳に関する知識なんかは、割と本当だったりするんですよね。本当のことを巧みに混ぜているというか。
そう考えると、“トンデモ本”としてはおもしろみには欠けるかな、と。
山本 笑えるところは何ヶ所かありましたけどね。
――「サタンと漫才する女」みたいなおもしろさはないですけどね。(※注3)
山本 そういうのはさすがにね。
ゲームのやりすぎは良くないっていうのは、確かにそのとおりだとは思う。けど、この論理はおかしいでしょう。
注2:1986年、田中角栄氏の失脚からマンガ雑誌の台頭まで、何でもかんでもユダヤの陰謀だと決めつけた奇書『ユダヤが解ると世界が見えてくる』(宇野正美著/徳間書店)が大ヒット。これを受けて多くの“ユダヤ陰謀本”が、各社から出版される羽目になる。
この現象は『ニューヨークタイムズ』で取り上げられ、アメリカの議員が当時の中曽根首相に抗議するといった事態を招いた(と学会編/洋泉社/宝島社文庫『トンデモ本の世界』より)。
2002年末、かつて流行した「ユダヤ陰謀論」とほとんど同じ主張を展開した本が出版され、複数の大手書店で店頭に平積みになるという事態が起こった。したがって「ユダヤ陰謀論」は過去のものとも言い切れない。今なお根強くくすぶり続けているのである。
注3:『アトランティスのミンダ王女500機のUFO従え「生命の樹」へ』(ヤミリ・キリー記・桑原啓善監修/でくのぼう出版)のこと。霊能力者ヤミリ・キリー氏が、サタンと戦う様子が書かれているが、ここに登場するサタンが、『ぷよぷよ』のサタンをほうふつとさせる情けなさ。ふたりの会話はほとんど漫才と化している。『トンデモ本の逆襲』(と学会編/洋泉社/宝島社文庫)参照。
徹底的にやり合ったほうがいい
山本 トンデモ本というと、同じNHK出版「生活人新書」に、『地上星座学への招待』(畑山博・著)っていうのがあるんですよ。(※注4)星座と、沼の形が同じだっていう(笑)。この本、地図が載ってて、その地図に載ってる湖を線で結ぶと、獅子座になるとか、そういうことが書いてある。
――(笑)でも、沼と星座に相関関係があったからって、被害をこうむる人はいないじゃないですか。
山本 ゲームの場合はちょっとね、困っちゃうんですけども。
――ゲーム業界側の動きが鈍いなあって感じがしてるんですよ。
山本 堂々と言い返してやればいいんでしょうけどね。
――毎日新聞で最初に出たときに、エンターブレインの浜村社長(『週刊ファミ通』前編集長)が取り上げたのと、あと『ゲーム批評』11月号くらいですか。全体的にゲームの売り上げが落ち込んでるから、影響が多少あったとしても、埋没しちゃってて、それより全体的な不況そのものが深刻だという感じなんでしょうかね。(※注5)
山本 ホントにこういうのって、徹底的にやり合ったほうがむしろいいと思うんですよね。
――ただ、メディアがないっていうのもあるかもしれないですね。
山本 ああ、確かにゲーム業界が何言っても、取り上げる媒体がないかもしれない。
――「てんかん報道」のときは本当にそうでしたけどね。あれも、各ゲーム雑誌で言ってる人はいたんですが、全部ゲーム雑誌だったんで。
山本 うーん、メディアのほうが敵に回ってると、載せてくれないというのはありますね。
――どうですか、次の『トンデモ本の世界』でこの本を取り上げるというのは。
山本 やりますよ(即答)。
注4:『ゲーム脳の恐怖』巻末に広告がある。「地上に広がる湖沼群と天の星座の不可思議な相似。空から星が降りそそいだのか、地上の湖が天に昇ったのか。作家の謎解きが始まる」
注5:『週刊ファミ通』11月1日・8日発売号で、再び浜村氏がこの問題を取り上げた。これをきっかけに、ゲーム界でも『ゲーム脳の恐怖』の影響の深刻さを受け止め、真剣に対策が練られるようになるといいのだが。
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