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「ゲーム脳」徹底検証
トンデモ『ゲーム脳の恐怖』(1)
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データと主観がごちゃ混ぜ
山本 で、いちばん問題なのが、脳波の測定をしたことから導かれる結論と、著者の主観とがごちゃ混ぜになってることですよ。どこまでが主観なのかわからない。
26、27ページに「睡眠不足の子どもたち」というのがあるんですけど、要するに最近NHKの調査によれば、小学生の睡眠時間がこの25年間で30分近く減ってると。
そこまでは本当なんだとしても、その後に「塾から帰ってきてからテレビゲームをするので、寝るのが遅くなるのも当然です」と、いきなりデータにないことを言っちゃうわけですよね。
さらに、「もしもテレビゲーム中毒になってしまうと、朝の三時ぐらいまですることにもなりかねません」と、想像でものを言っちゃいます。、それはゲームじゃなくて、朝の三時までゲームをやらせる親のほうに問題があるんじゃないかな(笑)。
そりゃ確かに、ゲームを1日何時間もやらせるのは良くない。良くないけどそれは親に言うべきであって、ゲームのせいにしないでほしい。ゲームが原因じゃなくて、親が原因で非行に走るというのはあり得ると思う。
ゲームを1日1時間だけきっちりやってる子とか、あるいはゲームを全然やらない子っていうのは、絶対親のしつけが厳しいはずだから。親のしつけが厳しいのと、放任主義の子供とでは、そりゃ育ちかたが絶対違いますよ。ゲームをやってる時間だけ見ても、正しい結果は得られない。
そういう問題を考えずに、いきなりこの結論を出すのがちょっとね。
――もうひとつ気になったのは、この4章のところで、「ベータ波を上昇させるゲームもあった」と。でも、森氏が言うところの“ロールプレイングゲーム”で、ベータ波は上昇するんだけど、それはストレスだから良くないと。それまでさんざん、「ベータ波が下降するのが良くない」と言ってたのに、ここで突然正反対のことを言ってるんですよ。
山本 この章で、ストレスを説明してるじゃないですか。スポーツってストレスたまらないんですか?
――(笑)
山本 野球とかやってても、追い詰められたら、選手ってストレスたまるでしょ?
――昨日の石井貴投手みたいに(※取材日の前日、日本シリーズで5連打を浴びて負け投手に)。
山本 あれ相当なストレスになるよ。そういうのは違うんですか? っていう気になるよ。だってゲームは疑似体験だけども、スポーツは実際にやってるんだから、そっちのほうがストレスたまるじゃない、普通。
脳の問題じゃないだろう
山本 『ゲーム批評』の66ページに書いてあるんですけど、「今、映画監督と一緒にアニメでの研究もやってますよ。昭和初期のモノクロのもので」。昭和初期のモノクロのアニメって、『くもとちゅうりっぷ』とか、『桃太郎 海の神兵』とかなんでしょうか?
――そういえばそうですよね、モノクロでも昭和初期だとかなり限られますよね。
山本 で、「ボクたちも昭和30年代に手をはたいて映画館で感動した記憶があります」って書いてあるんで、昭和30年代に子供っていうことは、何歳ぐらいなんだろうなとちょっと疑問に思って、この人の生まれた年を調べようとしたんだけど、プロフィールにも書いてないし、どうしてもわからないんです。
昭和30年代に劇場でやってたアニメというと、東映の『西遊記』とか『安寿と厨子王丸』だとかあのあたりの作品だと思うんだけど、……どっちもカラーだしなぁ。
――30年代はもうカラーになってましたか。
山本 なってましたね。
“自分が理解できないものは異常だと思っちゃう心理”ってありますよね。多分この人も子供の頃は、チャンバラごっことかをやったと思うんですよ。この世代はチャンバラか西部劇ですから。でもよく考えたら、チャンバラって殺し合いじゃないですか。
例えば今テレビの時代劇なんかで、人をバッタバッタ斬り倒してるけど、あれだけ人を殺しても、誰も「残酷だ」と言わないじゃないですか。みんなが慣れてしまっているから、そう思わないだけで。
――時代劇は私も前からそう感じてました。
山本 25ページで「前頭前野の機能低下と思われる身近な例も挙げてみましょう。たとえば、人目を気にせず電車内で化粧をしている人、公衆の面前で抱き合っているカップルなど」って言っているんですよね。
でも、アメリカ人は昔から、人前でキスしたりするじゃないですか。
――あ、そうか。
山本 アマゾンとか行ったら、裸で歩いてる人も多いんですよ。羞恥心というのは、文化の問題なんですよ、脳の問題じゃなくて。公衆の面前で抱き合っているカップルが増えたというのは、文化が変わってきていて、恥ずかしいという状態がなくなっているということなんだけども、この人はいきなり脳の問題だと言い切っているわけですよ。
――そういう理屈だったら、アメリカ人は昔から前頭葉が働いてないということに……。
山本 なっちゃいますよね(笑)。
そういう文化の問題を、「脳の問題なので」って断言しちゃってる。しかも、何で脳の問題だって言い切れるのかが書かれていない。
(次ページへ続く)
と学会会長、『ゲーム脳の恐怖』をトンデモ本に認定/テレビゲームと運動の比較
森氏はゲームを知らなさすぎる/知らないからこそ出る結論
データと主観がごちゃ混ぜ/脳の問題じゃないだろう
江戸時代のたった2例から理論を展開/テレビゲームに慣れる感覚
プログラマーはものを考えてないって?/何十万人にひとりのケース
何でこんなに売れているのか/徹底的にやり合ったほうがいい
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