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「ゲーム脳」徹底検証
トンデモ『ゲーム脳の恐怖』(1)
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『ゲーム脳の恐怖』(森昭雄/NHK出版)について、2ちゃんねるなどいくつかのサイトで、「これはトンデモ本だ」という意見がみられる。
“トンデモ”という言葉を世に広めた「と学会」の定義によると、“トンデモ本”というのは、「著者が意図したものとは異なる視点から楽しめるもの」、具体的に言うと、「著者の大ボケや、無知、カン違い、妄想などにより、常識とはかけ離れたおかしな内容になってしまった本」のこと。
『ゲーム脳の恐怖』は、果たして「トンデモ本」といえるほど、おかしな内容なのだろうか? またそうだとしても、果たして楽しめるほどのものなのだろうか?
そこのところを尋ねてみたくて、私は一路大阪へ。トンデモ本研究の本家「と学会」の会長で、SF作家の山本弘さんにお話をうかがった。
山本氏の指摘は、かねてから私が思っていたものと共通する部分が多く、インタビュー中に私のほうが舞い上がってしまったところも多々あるのだが、全体の雰囲気を再現しようと思い、私の発言もできるだけそのまま載せている。
<取材・文 府元晶(ゲイムマン)>
山本弘氏
SF作家。代表作『ラプラスの魔』『時の果てのフェブラリー』『サイバーナイト』『ギャラクシー・トリッパー美葉』(角川スニーカー文庫)『パラケルススの魔剣』(ログアウト文庫/角川スニーカー文庫で復刻)など。と学会会長としての著書に、『トンデモノストラダムス本の世界』(洋泉社/宝島社文庫)『トンデモ大予言の後始末』『山本弘のハマリもの』(洋泉社)『こんなにヘンだぞ!「空想科学読本」』(太田出版)、対談集『メバエ』(音楽専科社)など。
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と学会会長、『ゲーム脳の恐怖』をトンデモ本に認定
――『ゲーム脳の恐怖』について、2ちゃんねるなどで「これはトンデモ本だ」という書き込みがあったのを目にしたのですが、やっぱりこの本は、トンデモに近い感じなんでしょうか?
山本 いやもう、はっきり「トンデモ本」と言い切っていいんじゃないですか? 論理が根本的に崩壊していますからね。ぱっと見、根拠があるように見えるんだけど、よく読んでくと、すごくおかしいんですよね。
ゲームやってる間の脳波が、痴呆者の脳波によく似てるということなんだけども、アルファ波が増えてベータ波が減る状態というのは、別にそういう人じゃなくても、普通の人間がリラックスしてもそうなるんですよ。
現にこの63ページに、「痴呆の人の聞き取り中と健常な人がボーッとしているときの脳波が似ていることがわかります」ってあるでしょ。要するに安静にしてれば誰でもそうなっちゃうんですよ。
だから、“ゲームしている時の脳波が、痴呆者の脳波に似ている”と言うとショッキングに聞こえるけども、単に“安静にしているときの脳波に似てる”と言えば、逆にいいことなんじゃないかって思ったんですよね。
――よく「アルファ波はリラックスしてるときに出る」って言われますよね。
山本 この人の考えかたは、「アルファ波が増える状態が良くない」ということなんだけど、それを言ったらリラックスしてるだけで駄目ってことになっちゃいますよ。寝ることさえできないんですよ(笑)。
と学会
トンデモ本を研究して、そのおもしろさを世間に広めることを目的として、1992年に結成された。メンバーは山本氏のほかに、唐沢俊一氏、志水一夫氏、皆神龍太郎氏、眠田直氏、藤倉珊氏、植木不等式氏、岡田斗司夫氏など約100名。SFファンの集まる「日本SF大会」の中で毎年、「日本トンデモ本大賞」を主催している。『トンデモ本の世界』『トンデモ本の逆襲』『トンデモ超常現象99の真相』(洋泉社/宝島社文庫)『トンデモ本の世界R』(太田出版)など、ベストセラー多数。
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テレビゲームと運動の比較
山本 124ページに、運動したときの脳波が載ってますよね。運動すると、ベータ/アルファの値が減って、運動をやめると元に戻る。だから運動はいいんだ、ということが書かれてます。でもよく見たら、24ページの、ゲームやってるときの脳波と、一緒なんですよ。
――あ、本当ですね(笑)。
山本 運動やってるときは、後から増えるからいいんだって言ってるんだけど、ゲームやっててもやっぱし後から増えるんですよ。
――確かに増えてますね。
山本 じゃあゲームやってるのと運動やってるのと、どういう違いがあるんだろう。
――(笑)
山本 どう違うのか、いくら読んでもわからないんだけど。おんなじデータが出てるのに、違う結果を導くっていうのがね。

山本 コンピュータのプログラムやってる人の脳波を調べたら、やっぱりベータ/アルファ値が低いから、こいつらは何も考えてないって、ひどいことを言ってますよね(笑)。
――これひどいですよね。
山本 ひどいですよこれ。そんなわけないだろ! っていう。
――私が気になったのは、詳しくは書かれてないので、わざとぼかしてるのかもしれないですけど(※注1)、もしそういう人が作ったのがこの脳波計だったとしたら……
山本 信用できないなっていう。
――そこは信用できないし、それを信用するんだとしたら、その状態はおかしくないだろ、と。
注1:『ゲーム批評』11月号のインタビューには、「脳波計のためにソフト開発してる8人」とあった。
(次ページへ続く)
森氏はゲームを知らなさすぎる/知らないからこそ出る結論
データと主観がごちゃ混ぜ/脳の問題じゃないだろう
江戸時代のたった2例から理論を展開/テレビゲームに慣れる感覚
プログラマーはものを考えてないって?/何十万人にひとりのケース
何でこんなに売れているのか/徹底的にやり合ったほうがいい
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