 |

「ゲーム脳」徹底検証
日大医学部・泰羅助教授に聞く
|
――『ゲーム脳の恐怖』の内容を見ていきたいのですが、2章の前半に書かれている、前頭前野と、脳の各部分の役割、これは間違いはないですか?
泰羅 脳の前頭前野は、今いろんなところで取り上げられていますが、人を人たらしめるって言われている部分ですね。
――ここが、人の場合は特に発達しているということですか。
泰羅 そうですね。
――この本の中では、ゲームをやるときは前頭前野が働いていないと書かれているようですが。
泰羅 うーん、それはちょっと曲解ですね。
前頭前野が働かないゲームもあり、働くゲームもそりゃいっぱいある。一概には何とも言えないですね。
――この本の中で取り上げられているゲームというのは、アクション系のものが中心で、思考型のゲームについては、あまり書かれてないような感じがしたんですが、そういうゲームだとまた、変わってくるのでしょうか?
泰羅 うん、そりゃ、変わってくるでしょう。ロールプレイングゲームなら、画面を読まなきゃいけないですからね。
でも、注意しなければいけないのは、この本を批判するかたは、ロングターム(長期)の影響とショートターム(短期)の影響を混同してるんですよね。
ゲームをやるときには確かに、前頭葉が働くものもあるし、働かないものもある。それは確かだけど、長期的にどういう影響を及ぼすかなんてのは、それは別の研究で、全然わかんないわけですよ。森先生はそれを言おうとしているわけでしょう?
――もう少し長いスパンで、研究を重ねていく必要があるということですか。
泰羅 そうですね。……何を見るかでしょうね。ゲームがいい、悪いっていうときの基準は何かってことですよね。ゲームの直接的な影響なのか、他の要因も含めた長期的な影響なのか。その立場が違って議論したって、議論になりっこないですよね。
――こういうところがいい、悪いっていうのがかみあわないと。
泰羅 そう。だから、その議論はあんまり、生産性もないですよね。
――とはいえ、「テレビゲームが子どもたちの脳を壊す!」みたいに表紙で書かれていますと……。
泰羅 確かにすごくセンセーショナルですよね、こういう書きかたするとね。これはだから、マスコミがそういう風にしちゃったわけですよね。
――雑誌(『ゲーム批評』11月号)によると、『ゲーム脳の恐怖』っていうタイトルは森氏の発案で、出版社は違うタイトルにしたがったそうなんですが。果たして「ゲーム脳」といえるかどうか。内容を見ると、アニメとかホラー映画とか……。
泰羅 うん、なんかいろいろ書いてありますね。
――将棋も長くやり続けてるとうんぬんと書いてますね。(※注3)
泰羅 (笑)
――これを「ゲーム脳」と言い切ってしまうのはどうかと思うんですけど。
泰羅 だから要するに、こういう基準でもって分類したってだけの話でしょ。こういう装置を使ってこういう脳波とって、そしたらこういう風に分類できましたって話でしょ。そっから先は解釈なんですね。たまたま、痴呆の人と比べたら、おんなじようなパターンをしてました。そういう話ですよね。
脳波のパターンを見たら確かにそういう解釈も可能でしょう。そっから先は三段論法になっちゃうわけですよね。パターンがおんなじだから、じゃあその人が生活の中で痴呆かといったら、そりゃわからんでしょう。
――ちょっと不思議なのが、もともと、ソフトウエアを開発した人の脳波をとってみたらっていう……
泰羅 あ、そうみたいね、僕それ知らんかった。(笑)
――でもその後、その機器を使っての測定をしてるわけですよね。
泰羅 いや、この記述を見る限り、どのソフトウエアを開発した人なのかはわからないですよ。論文だったらそういうところはきちんと書きますけど、そういうものがないじゃないですか。それが、本と論文の違いというか、細かいところが書かれてないですから。
――本で出す場合は書かないですか。
泰羅 書かないですね。だって、書いたら細かくなりすぎて、誰も読まないでしょ。専門書とはまた違うところですよね、それはね。
注3:『ゲーム脳の恐怖』P143には「将棋ゲーム」についてのみの記述だったが、『ゲーム批評』11月号のインタビューによると、テレビゲーム化されていない将棋でも、「考えることが必要なくなる」と、森氏は考えているらしい。
(次ページへ続く)
※泰羅教授の2009年時点での研究結果が、CESAの冊子「テレビゲームのちょっといいおはなし・6」に掲載されています。
※泰羅教授の2008年時点での見解が、CESAのインタビュー記事に掲載されています。
|
|
 |
|
 |
|