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「ゲーム脳」徹底検証
日大医学部・泰羅助教授に聞く

毎日新聞や週刊文春など、数多くのマスメディアで取り上げられ、現在ベストセラー街道まっしぐらの『ゲーム脳の恐怖』(森昭雄/NHK出版)。だがその内容については、批判する声も数多く聞かれる。
特に、著者が日本大学の医学部ではなく、文理学部の教授であることから、「著者は医学について門外漢なのではないか」という疑問の声が根強いようだ。
そこで、日本大学医学部・生理学教室の、泰羅雅登(たいら・まさと)助教授にお話をうかがった。泰羅氏は、森氏の主宰する「日本健康行動科学会」の、第1回学術大会で講演をされていて、森氏を昔からご存じということだ。
<取材・文 府元晶(ゲイムマン)>

――まず、この『ゲーム脳の恐怖』を読んでのご感想をおうかがいしたいのですが。

泰羅 難しいですね。本の内容に関しては、論文とは違いますからね。感想と言われても難しい。
研究というのは人それぞれ、独自のやりかたでやられるわけじゃないですか。だからその手法も人それぞれで、その結果に対してどういう解釈するかってのは、またそれぞれの研究者がやることなんですよね。
この本に関してみたら森先生独自のやりかたでやられて、その結果があるわけで、これは森先生しかやってないわけで、森先生がそういうふうに解釈された、ということですよね。
論文に対してなら、きちっとした批判はできますし、議論が交わせるわけですけど、この本は一般書であって、学術的なものではないですよね。そういうものに対しては特に、議論は難しいですよね。


――ただこの本は、世間的には「ゲームの悪影響を科学的に実証した本」というふうに受け取られているようですが。

泰羅 そう紹介したのは、マスコミじゃないですか。

――出版社の紹介文がそんな感じでした。(※注1)

泰羅 マスコミがそういう風に取り上げたんですよね。いちばん最初に取り上げたのは……、

――毎日新聞ですね。(※2002年7月8日夕刊)

泰羅 そうですね。それは、マスコミが取り上げてマスコミが作ったわけでしょ。

――では、論文としてこれを見たら、どうなりますか?

泰羅 論文の形態にはなってないですからね。論文の形態になってると、詳細なデータが出てきますからね。

――論文として考えるには、この本のデータは十分ではないということなんでしょうか?

泰羅 いや、それはわからないですよ。もっとデータを持っておられるのかもしれないですし。一般の記事にするときには、実験データは部分的にしか出しませんからね。
だから、この裏にはもっとデータがあるかもしれないし、これを見ただけでは、わからないですね。

――論文という形態をとらずに、いきなり本にして掲載したという点も、批判の対象になっていますが。

泰羅 それは結構あることじゃないですか? なかなか論文にならない研究というのは結構ありますし。

――現時点でも、この題材に関する論文はまだ出てないですか?

泰羅 論文は調べてないからわからないけど、学会では発表していますよ(※健康行動科学会で発表している)。

――先生は、「日本健康行動科学会」で講演をされたそうですが。

泰羅 森先生が作った学会ですね。第1回学術大会のシンポジウムに参加しました。

――第1回ということは、発足したばかりの頃ですか。

泰羅 いやいや、こないだ行われたばっかりですよ。(※注2)

――あ、そうなんですか?

泰羅 ええ。学会が今年できたんですよ。

――講演されたとき、会場に来られていた人数はどのくらいですか?

泰羅 100人近くは来てたんじゃないかな。テレビも入ってきていましたし。


注1:『ゲーム脳の恐怖』カバー折り返し部の文章
「子どもたち、若者たちに蔓延するテレビゲーム。著者は、脳への恐るべき影響を、脳波計測データを解析し、明らかにした。意欲、判断、情動抑制など、人間らしさを保つために重要な働きをする前頭前野が、ゲーム漬けで危機に瀕している。どうすれば回復させられるか。脳神経科学者からの警告!」
注2:2002年10月5日、6日に、日本大学文理学部百周年記念館で開催された。

(次ページへ続く)


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